寺山修司の短歌 13 ねむりても
ねむりてもわが内に棲む森番の少年と古きレコード一枚
(「森番」の短歌が収められる)第一作品集「われに5月を」(1957年)は、全て寺山10代の時の作品である。
彼は作品発表に際し、「これで僕の内で作者である青年は死んだが、その意識は僕の内で保たれている」と語っている。
森番の少年は「頑なに何かを守ろうとしていた少年時代」で、古きレコードは「その頃大切な人と聴いた想い出の曲」なのかも知れない。
一度は(大人になるため)葬り去った筈の記憶ではあるが、心の奥底に潜む少年期の思いが意識から消えてなくなることはない。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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