寺山修司の短歌 64 胸の上


胸の上這わしむ蟹のざわざわに目をつむりおり愛に渇けば


「蟹」は、母性や優しさを暗示。
「蟹が体を這うざわざわ(=不快感)」は、精神的なストレスや対人関係の煩わしさを象徴。
「目をつむりおり」は、空想の世界にいる。

(母の)愛情に飢えた私は、敢えて空想の世界で対人関係(母子関係)の煩わしさや精神的ストレスの中に身を置いてみるのだ。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ

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