寺山修司の短歌 96 屠りたる
屠りたる野兎ユダの血の染みし壁ありどこを向き眠るとも
「ユダ」は、イエスの弟子で12使徒の一人。イエスを裏切った末に死んだことから、裏切り者の代名詞として扱われることが多い。
「野兎ユダ」は、(自らの心を偽った)自分自身の暗喩か。
どこを向いて眠っても、壁には屠った野兎ユダの血が染み付いているように、私も自らの心を偽った自分自身を屠って来たのだ。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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