寺山修司の短歌 100 亡き母の


亡き母の真赤な櫛で梳きやれば山鳩の羽毛抜けやまぬなり


「櫛」は、女性の象徴だが、語源は奇し、即ち霊力の強い物。
「真赤」は、強調の色。
「山鳩の羽毛」は、(山に住む)野生の鳩の羽根(=奪われれば家畜となる)。

母の形見の真赤な櫛で梳いてやると、山鳩の羽毛が抜けやまぬように、その強い霊力で(自由に羽ばたく羽根を奪われ)飼い慣らされてしまうのだ。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ

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