寺山修司の短歌 113 壜詰の


壜詰の蝶を流してやりし川さむざむとして海に注げり


「壜詰の蝶」は、自由を奪われた・縛り付けられた・閉じ込められた自らの魂の暗喩。
「さむざむとして」は、殺伐として。凍てつくように。寒々として。
「注げり」は、注ぐ・流れ込むの存続・完了形。

壜詰の蝶のように、故郷や母への思いに縛られた自分の魂を流した川は、凍てつくように海に流れ込んでいたのだ。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ 

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