寺山修司の短歌 112 うしろ手に


うしろ手に墜ちし雲雀をにぎりしめ君のピアノを窓より覗く


「墜ちし雲雀」は、繁殖期の雲雀(揚雲雀)が高く上がって縄張り宣言をした後に急降下することを言い、雲雀は自身の暗喩だろう。

後ろ手に堕ちた雲雀を握りしめるように、自らの欲望を(君に)悟られぬよう、ピアノを弾く君の姿を窓から覗いているのだ。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ 

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