寺山修司の短歌 120 寿命来て
寿命来て消ゆる電球わがための「過去は一つの母国」なるべし
「電球」は、自分自身の暗喩で、宮沢賢治の「春と修羅」の序文より引用。
「過去」とは、(体験といった事実ではなく)おぼろげに残る記憶の痕跡であり、詰まるところ、人間の脳が紡ぎだした虚構の物語である。
寿命が来て消えてなくなる(電球に見立てた)私にとって、「過去という記憶の痕跡(=物語)は一つの母国」に違いない。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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