寺山修司の短歌 121 乾葡萄
乾葡萄喉より舌へかみもどし 父となりたしあるときふいに
「乾葡萄」は、乾燥させた葡萄の果実で、子種を失った虚構の自分を暗示。
「喉より舌へかみもどし」とは、なかなか飲み込もうとしない(=事実を受け止めきれない)虚構の自分を暗示する。
注)この後、寺山夫妻は流産で子どもを失うが、それはまた別の話。
干し葡萄を喉から舌へ噛み戻すように、子種を失った事実を受け止めきれない自分が、ある時不意に父になりたいと思うのだ。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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