『ゲッタウェイ』


『ゲッタウェイ』(The Getaway)は、Mr.Coolと称された故スティーブ・マックイーン主演のサスペンス・アクション映画で、1972年に公開(日本公開は1973年)された。

監督: サム・ペキンパー
音楽: クインシー・ジョーンズ
出演:スティーブ・マックイーン
   アリ・マッグロー


プロの強盗ドクは、刑務所を出所させてくれた地元の顔役の指示で銀行に強盗に入るが計画は破綻。妻キャロルとの逃亡を余儀なくされるという、バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー監督最大のヒット作である。

この作品は、後にアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガーのコンビでリメイクされたが、何と言ってもこの作品でのマックイーンが最高に格好よく(勿論、そこにペキンパー監督のアクションシーンでのスローモーションも迫力満点で華を添えている)、1980年に50歳でこの世を去ったのが何とも惜しまれる。


夫婦を演じたマックイーンとマッグローは、この共演をきっかけに結婚するのだが、この撮影では脚本にはないアドリブが仕掛けられたという。

それは、妻キャロル(マッグロー)の身勝手な行動に主人公のドク(マックイーン)が怒りを露わにするシーンで、ドクがキャロルを何度も殴りつけるというもの。
実はコレ、ペキンパーとマックイーンが仕掛けたもので、マッグローも知らされていなかったというから驚きである。

これは、最後にほっこりするシーンだが…観てのお楽しみ


もう一つの撮影秘話


この映画がテレビで放映された時、解説の故淀川長治氏が、「この映画のラストにはもう一つのエンディングがあり、もう一つの方では主人公の二人は警官隊に撃ち殺されてしまうんですね」と言っている。

日本で放映された映画では、ドクとキャロルを乗せたトラックが緩やかな坂を上がっていくところ終わっているが、もう一つのエンディングでは、坂道を越えたところでメキシコの警官隊が待ち受けていて、二人は蜂の巣となるというのだ(まるで『俺たちに明日はない』の主人公たちのように)。

※『俺たちに明日はない』』は、1967年製作のアメリカ映画。世界恐慌時代の実在の銀行強盗であるボニーとクライドの、出会いと逃走を描いた犯罪映画で、アメリカン・ニューシネマの先駆的作品とされる。

当時の映画界には、「犯罪は死を持って償わなければならない」という不文律があったそうで、『俺たちに明日はない』は、確かにそういう時代の映画であった。

ところが、マックイーンや製作サイドの意向もあり、ペキンパーが折れる形で、今回の「無事に逃げ果せたかも知れないエンディング」となったという(実際、ペキンパーとマックイーンは撮影を巡って何度も衝突していたらしい)。


また、「ゲッタウェイ」に登場する刑務所のシーンは、マックイーンと撮影隊が本物のテキサス州立ハンツビル刑務所で、本物の囚人に混じって撮影しているという。

※ 因みに、テキサス州は全米で最も死刑に積極的な州で処刑者数も全米最多であるが、テキサス州での死刑業務を担っているのが、ハンツビル市にあるこの州立ハンツビル刑務所である。

また、同市にあるテキサス刑務所博物館は現地で人気のツアーコースに入っており、近くでお薦めのホテル案内までネット検索出来るのが、何ともアメリカらしい。

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