「竜涎香(りゅうえんこう)」
前回採り上げた「魚味求真」(関谷文吉著)の中には、こんなウンチクもある。
麝香(じゃこう)と並び香料中の宝とされたものに竜涎香(りゅうえんこう)があり、中国では竜の涎(よだれ)が固まったものとか、鯨の糞とか、蜜蜂の死骸の塊が海に漂ったものだと信じられていた。(神秘的なんだか、非衛生的なんだか…)
だが、その正体は、マッコウクジラが大量に丸呑みしたイカから出る「からす・とんび」が未消化のまま病的にたまった腸内結石だというのだ。(オレの夢を返せ!)
この竜涎香は、フランスの小説「チボー家の人々」にも官能的なムードを添える小道具として登場するが、マッコウクジラから取れることを最初に発見したのは、「東方見聞録」で知られる十三世紀の探検家マルコ・ポーロである。
彼は、アフリカ・ソマリア半島沖のソコトラ島という孤島(ここではバッタも羽が退化して飛べないらしい)でこれを採取したという。
竜涎香の大きさは、人間の結石同様マチマチだが、蝋状で1キロから100キロ以上のものまであるというから何ともスケールの大きな話ではある。
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