寺山修司の短歌 22 うしろ手に
うしろ手に春の嵐のドアとざし青年はすでにけだものくさき
「けだものくさき」という表現はユニークで、少し解釈に苦しんだが、おそらく子どもの無邪気さを失った代償として、邪念や狡猾さといった「生きる術を身に着けた」と言いたかったのだろう。
まるで春の嵐のような青春期の葛藤を断ち切った青年は、既に(邪念や狡猾さといった)「生きる術」を身に纏っている。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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