寺山修司の短歌 23 大工町
大工町寺町米町仏町老母買ふ町あらずやつばめよ
寺山の母は気性が激しく感情的で、米軍基地で働くようになった頃から反発心は絶えず、死ぬまで寺山を悩ませたと言われる。
これまで自分の生活を支えてきた大工や寺、米屋、仏壇店に加え、今まで育ててくれた老いた母を並べたうえで、母から独立したい気持ちはあるが、そうなったらこんな老母を雇ってくれるところなんてないだろうという諦めの気持ちが交錯する複雑な心境を詠んでいる。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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