寺山修司の短歌 44 言葉葬


言葉葬けむりもあげずをはるなり紙虫(しみ)のなかなる望郷の冬 


「言葉葬」という発想はユニークで、「私が死んでも墓は建ててほしくない。私の墓は私の言葉であれば充分」という名言(名言 2を参照)を残した寺山らしい。 
「けむりもあげず」というのも、「言葉葬」を「火葬」に喩えた表現で面白い。

自らの「望郷の冬」を「言葉葬」で葬ってやろうとしたが、(紙類に食害を及ぼす)紙魚の所為で呆気なく終わってしまったと言っているのだ。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ 

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