寺山修司の短歌 45 銃声を


銃声をききたくてきし寒林のその一本に尿まりて帰る 


「寒林」は、冬枯れの寒々とした林。また、インドのマガダ国にあった林の名で、死体を捨てる場所であったとも言われる。

「銃声を聞きたくてきし」理由は、自死願望の現れで、「尿まりて帰った」のは、小便を契機に張り詰めた気持ちが解け、その気も失せたのだろう…よくあること(?)だ。

死に場所を求めて冬枯れの寒々とした林に来てみたが、あまりの寒々しさに尿意を催した。 その辺の木に小便をするうち、張り詰めた気持ちも解け、そのまま帰ってしまったのだろう。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ 

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