寺山修司の短歌 51 とばすべき
とばすべき鳩を両手でぬくめれば朝焼けてくる自伝の曠野
「自伝」とは、自分で書いた自身の伝記で、ここでは荒野(の如き人生)を指している。
「鳩」を「とばす」のは、「自伝」出版のセレモニーの演出だろうか。
「朝焼け」は、日の出の頃に東の空が赤く染まる現象をいう。
(セレモニーを演出すべく)飛ばそうとする鳩を両手で温めていたら、自ら選んだ荒野の如き人生にも朝焼けがさしたのだろう。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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