寺山修司の短歌 75 胸病めば


胸病めばわが谷緑ふかからむスケッチブック閉じて眠れど 

「わが谷」は、(胸を病んだ)私の想像上の谷。

胸を病んだのを機に、絵でも描こうとスケッチブックを開けば、谷の緑をくっきりと思い浮かべることが出来る。これでは病によくない(安静にしなくては)と、スケッチブックを閉じて眠っても、そのイメージが消えることはないのだ。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ

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