寺山修司の短歌 76 わが拇印
わが拇印むらさき色に濁る日を 断崖にゆく涜るるために
「拇印むらさき色に濁る」のは、これまで偽りの契約書に拇印をついてきた(=嘘を重ねてきた)から拇印が濁るのだ。
「断崖にゆく」のは、断崖から飛び降りるためである。
私の(拇印が紫色に濁るほどに)嘘で塗り固めた日々に対しては、(その穢れのために)断崖から落ちるのが相応しい、と自らを責めている。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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