寺山修司の短歌 104 わが影を


わが影を出てゆくパンの蠅一匹すぐに冬木の影にかこまる


「冬木の影」とは、冬枯れの(葉の落ち尽くした)木の姿、そのものの形。

パンにたかっていた蝿が一匹、私の影から出ていったものの、冬枯れの木々(の影)から外には出られないのだ。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ

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