寺山修司の短歌 107 とびやすき
とびやすき葡萄の汁で汚すなかれ虐げられし少年の詩を
「葡萄の汁」は、グレープジュースのこと。
「虐げられし少年」は、ロシアの文豪ドストエフスキーによる長編小説「虐げられし人々」をモチーフにしたのか。
「少年」は、故郷への思慕、過ぎゆく青春のメタファー(暗喩)として、寺山の短歌には度々登場する。
虐げられた"少年" 即ち、故郷への思慕や過ぎゆく青春の詩を、飛び易い葡萄ジュースで汚してはならない、というのだ。
by 寺山修司(てらやま しゅうじ)
青森県出身の歌人、劇作家
演劇実験室「天井桟敷」主宰
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ
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