寺山修司の短歌 110 一枚の


一枚の葉書出さんとトラックで来し黒人も河を見ており


「トラック」で来たのは、一枚一枚の葉書がたくさん集まってしまったからだろう。
「黒人」は、ここではアフリカ系アメリカ人を指し、かつて遠く離れたアフリカから奴隷として連れて来られ、奴隷制解放の後も人種差別との闘いが続く民族的歴史を持つ。 
「河」は、時の流れや世の移り変わり、人生などの象徴。


遠い故郷に宛てた葉書を集めて出そうとトラックでやって来た黒人も、(河を眺めるように)時の流れや世の移り変わりに触れ、感慨に浸っているのだろう。

by 寺山修司(てらやま しゅうじ)  

青森県出身の歌人、劇作家   
演劇実験室「天井桟敷」主宰   
言葉の錬金術師、昭和の啄木などの異名を持つ 

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